TPPの取り組み　全国酪農民総決起大会・TPP参加断固反対デモ運動

「食料」を「貿易の道具」とするな！
全国の酪友の思いを結集
1500人が東京都内で「TPP参加断固反対」を叫ぶ
全国酪農民総決起大会・TPP参加断固反対デモ運動

　日本酪農政治連盟（佐々木勲委員長）は9月15日、東京都内で全国の酪農民に動員を呼びかけ、環太平洋経済連携協定（以下「TPP」という）交渉参加断固反対・全国酪農民決起大会を開催し、酪農家をはじめ酪農関係者ら1500人が東京都新宿区の日本青年館に結集した。広島県酪農政治連盟（藤岡辰彦委員長）は、広酪に動員要請し、山本武組合長他役職員ら総勢23名が参加した。

（広島空港に集まった広島の参加者ら）

佐々木委員長「若人が希望を持てる環境にするために！」

佐々木勲委員長は東日本大震災や福島第一原発事故に触れて「TPPは第一次産業だけでなく他の産業にも多大な影響を与える。連携して断固反対の姿勢をもって、若人が希望を持てるようにTPP参加に断固反対する。」と訴えた。

来賓挨拶

　大島理森（ただもり）自民党副総裁は「酪農の命を守れ！との痛烈な声を重く受け止める。これまで経験した農業交渉等を糧に、農業の多面的機能を含め皆さんの意思をしっかり受け止め行動していくことを約束する！」と発言。力強い言葉に会場から大きな拍手が沸き上がった。

　山田正彦前農林水産大臣（民主党）は「経済団体との話を聞くと、TPPに参加して、農家にはそれだけの金を払えば済むくらいの考えだが、TPPは「経済」と「農業」の問題だけでは無い。その他の産業にも大きな影響があり、医師会等その他産業を巻き込んでの反対運動を展開すべきである。今後もTPPには慎重に対応していきたい。」と述べられた。

公明党の井上義久幹事長をはじめ、国会会期中にもかかわらず多くの国会議員が出席された。

　この他、消費者代表として主婦連合会の山根香織会長は、「これまで食の安全・安心、表示の明瞭化を求めてきたが、農業危機と政府の食料自給率の向上に対する矛盾等対応に不満を感じる。消費者も酪農家と共にTPP反対の声を上げていきたい。」と訴えた。また、ＪＡ全中の大西茂志常務は「私はTPPの頭文字を「とんでもない！ペテンに掛けた！パートナーシップ」と解釈する。TPPは農家の意欲をそぐもの。宮崎の口蹄疫被害は半分も再建できていない。組織総力を挙げてTPP反対に取り組む」と政府への不満と今後の決意を述べられた。

「断固反対」「行動実行」を決議

　全国の酪農家・酪農関係者で埋め尽くされた決起大会の会場。全員がはちまき、緑のTシャツを着用し、会場は緑に包まれた。集会では「TPP交渉参加断固反対の決議」として、 (1)大会決議後のデモ行進(2)委員長を中心とした政府・国会への要請活動(3)地方と一体となった運動展開の3つを含む「実行運動」を決議した。

日本酪農政治連盟の合同委員として主催者席に座る藤岡委員長：右端）

決起集会にあたり厳しい表情を見せる広酪の役職員
	2階席から「日本の食糧主権を確立しよう！」の広島の横断幕を垂らし、広酪オリジナルトレーナーをつなぎ合わせ、会場を盛り上げた。

採決された決議文

TPP交渉参加断固反対の決議

　現在、政府が検討しているTPP交渉参加の是非については、わが国の将来を左右する大問題にもかかわらず、国民に対する説明が大変不十分である。

　世界のどの国も独自の風土に適した食文化を持ち、食料自給を国の基本政策としているが、わが国は60％もの食料を外国に依存している最も開かれた農畜産物輸入国である。

　ゼロ関税を基本とするTPP交渉にわが国が参加することとなれば、世界食料危機が必ず訪れるにもかかわらず「食料自給率はさらに低下へと向かい、「食料の安全基準」も外国主導となることは明らかである。

　そして日本農業は壊滅的な大打撃を受け、我々酪農生産者が目指してきた食料の安全・安心や安定供給が損なわれることを深慮されたい。

　よって政府・国会は食料を貿易の道具とする考えから脱却し、食料安全保障や国土保全、環境などの破壊につながるTPP交渉に加わることに断固反対する。

採択された「大会スローガン」

　一．新内閣は国民の声をしっかり聴け！

　一．食を守れない国に未来はない！

　一．国の責任で食料自給率を高めよ！

　一．国土保全・多面的機能を持つ酪農を守れ！

　一．国は国産食品の安全・安心対策を徹底しろ！

　一．震災・原発被害からの復興に全力を注げ！

炎天下のなか都内を１時間休まず行進

　全国から集まった1500人が明治公園に集まり、街宣車を先頭に5人50列を1班として6班に分かれて長蛇の行進。広島は2班に加わり、明治公園を出発して、外苑前、表参道、明治神宮前を通って代々木公園までの約3キロをシュプレヒコールをあげながらTPP断固反対への理解を訴えた。

	一際目立つ黄色に赤文字の「広酪オリジナルトレーナー」の取材を申し入れるNHKスタッフ。
広島オリジナルトレーナーを高々と掲げ大きくPRする池田代表監事
	上野千里前全国酪農協会会長（写真左）も拳を振り上げ訴求。広島の一酪農家としてTPP反対を叫ぶ。右は広島を率いる藤岡委員長。
STOP　TPP」「TPP参加Mow（猛）反対」のプリントトレーナーをポールにまきつけ都内を行進。
	250人を１グループとして都内を行進
青山通りの坂道でシュプレヒコールをあげながら進む緑の長蛇の列
ひときわ目立つ広島県の横断幕を掲げ都内を行進
	多くの車両が往来する中、ビルの谷間を進むデモ隊。
照りつける太陽の下、灼熱のコンクリートジャングルを進むデモ隊。
	拳を上げ、声を張り上げる広島デモ隊
拡声器でシュプレヒコールを叫ぶ西中参事に次いで進む広島デモ隊
	渾身の力を振り絞って叫ぶ森田総務管理課主事。その勢いにデモ隊も力強く呼応した。
デモ隊に関心を持ち動画撮影する一般女性
	明治神宮前を歩くデモ隊に関心を寄せる多くの人だかり。
ゴール地点の代々木公園で汗だくの中、達成感を分かち合う広島デモ隊

　今回の決起集会で決議したTPP参加断固反対の決議は、「酪農家を守る」といった限定的なものではなく、「日本を守る」大義に尽きる。TPP参加は酪農家や農業団体での争い事にとどまらず、医療・金融・保険等他のあらゆる産業に多大な影響を与え、必ずしも日本の国益に有利には働かないものである。いま日米友好関係のもと、オバマ政権における米国内の起死回生策に日本を利用されかねない危機的状況にある。

　決起集会には、消費者団体や経済団体の代表者が参加して、TPP参加断固反対に対して共に戦おうとする決意表明が述べられた。十分な議論がなされず、マニフェストにもない突如湧いて出たTPP。東日本大震災対応をはじめ政治への不満も聞かれる。与党幹部にはTPP推進派がみられ、政府・与党、現政権下の動向に予断を許さない状況があり、その動向に今後も注視しなければならない。

　今回広島から集会並びにデモに参加したものは、炎天下の中、汗だくで約1時間休まず、乾いた喉を潤す暇もなく、酪農家の熱い思い胸に、多くの人にこれらの理解と関心をひきつけるべく声高らかに大会スローガンを叫んだ。今後ともTPP参加断固反対の姿勢を貫き、一生懸命に酪農団体として組合員とともに行動にあたりたい考えである。